ⅩⅡ

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いくらここで、 こうして、考えていても何も変わらない。 答えなんて出ない。 私は、和くんの顔を見て言った。 「和くん。やっぱり私ね 病院に行ってくる。 でも、一人で行きたいの。 和くんに、迷惑がかかるからとかじゃないよ。 勿論、迷惑かけたくないとは思ってる。 もう、 たくさん迷惑かけちゃったけど けど…… 違くて、一人で行かないと、 きっと、変わらない気がするの。 だから、私…… 本当は怖いけど、 行きたくなんかないけど……」 そこまで、 一息に話してから 私は大きく息を吐いた。 それから和くんをもう一度見つめてから言った。 「一人で行ってくる。」 和くんは、黙って頷いた。 「わかった。 病院まで送るよ」 そう言って、頷いた和くんが 車のエンジンをかけた。 和くんの横顔を 私は、そっと覗き見た。 今…… 和くんは、 何を思っているんだろう。 私は 走り出した車の中で、 膝に置いたタイムカプセルを、 じっと見つめた。
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