ⅩⅡ

41/44
前へ
/460ページ
次へ
病院に入り 昨日おばさんに会った、受付を通り過ぎる。 エレベーターの扉が、 開いている。 なんだか 春菜ちゃんに、手招きされて呼ばれてるみたいで怖い。 息が、上手く出来なくて 必死に落ち着けって 自分に言い聞かす。 いろんな事ありすぎて、 もう限界。 ずっと、 出口の見えない道を、 さまよってる…… 和くんと走った、 あの、山道みたい…… 導かれるように 乗ったエレベーターから降りて 病室の前に立った。 私は、大きく息を吐いた。 きっと、変わる。 このタイムカプセルを、春菜ちゃんと一緒に開けたら 答えが見つかるんだ。 そう自分に言い聞かせて 私は 扉をノックをした。 ――返事がない。 ドアノブに手をかけて 扉をそっと開けて、 声をかけた。 「こんにちは……」 春菜ちゃんの病室は 綺麗に清掃されていた。 誰もいない病室―― 私は呆然と立ち尽くした。 ふっと肩の力が抜けた。 決意して病室まで来たせいか 硬直した身体中の力が 全部、抜けたみたいに立ち竦む。 きっと…… 戻ったんだ。 このタイムカプセルを、二人で一緒に見つけたから だから春菜ちゃん 事故の前に戻れたんだ! 春菜ちゃんが事故した あの日の過去が 変わった!!!
/460ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2405人が本棚に入れています
本棚に追加