ⅩⅡ

44/44
前へ
/460ページ
次へ
罪から逃れようとして ずっと…… 必死になってた。 でも もがけば、もがく程 糸が絡まって 見えない蜘蛛の巣に 巻きつけられていくみたい。 春菜ちゃん ますます、 私を恨むよね…… 3日前に戻ったあの日 死のうとしたのは この海だった…… 和くんと 昨日、 笑ったのも、この海…… もう一度 死ぬ勇気があったなら 私…… どこから、狂っちゃったんだろう。 「ねぇ……おばちゃん」 小さな女の子が 私に話しかけてきた。 おばちゃんか…… そうだよね。 私、もう おばちゃんなんだ。 ふっと息を吐いて 苦笑いになる。 今は、 子供の相手をするのも面倒で そんな気持ちになれない。 ましてや、知らない子供。 私は、 その子と話したくなくて ほんの少しの笑顔を作って その女の子に言った。 「ばいばい」 ――その時 私は背中を ドンと押された――
/460ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2405人が本棚に入れています
本棚に追加