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「あ、やっと反応してくれました!」
こちらにできるだけ声を届けるために少しずつ近づいてきていた包丁娘がすぐ後ろでにっこりと笑う。
さっきまでしょんぼりしていたところから一転してころころ笑うその姿は、まさに花が咲いたみたいだった。
嬉しそうに笑うのはいいけど、半分以上脅しだからな。そのへん分かってんのか、とは言わない。チキンなことには定評のあるオレですから。
「害虫のくせに人を無視するなんて言語道断ですよ」
「あーハイハイ。オレだけじゃなくてオッチャンもスルーしてたけどな」
まあ、オレに合わせてくれてただけだけど。何も言わずに察してくれるとは、空気の読める人だな。
オッチャンの方に目を向けると、
「よう、こんにちは。嬢ちゃん、コロッケ食うか? サービスしとくぞ」
「こんちはー、うちのコロッケおいしいよー」
「えっと、その、あのー」
声をかけられた包丁娘はオロオロするばかりで、オッチャンの差し出したコロッケを受け取ろうとはしなかった。
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