【第三章 異世界生活】

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「どうしたんだ? せっかくなんだしもらっておけよ。ここのコロッケはホントにうまいぞ」 「じゃ、じゃあ、ありがとうございます」 「どうぞめしあがれー」  やっとのことでおずおずとコロッケを受け取ると、元気いっぱいの声に促されて口へと運ぶ。 「んッ!?」 「どう、おいしい? おいしい?」  目を輝かせて訊ねてこられた包丁娘は、固くなっていた表情をほころばせて返す。けど、 「ええ、すごくおいしいです」 「でしょー」  喜んだ少女がぴょんと近づくと、また一瞬固まってしまう。 「もしかしなくても、けっこうな人見知り?」 「そ、そんなこと…………ありますけど」  最初は否定しようとしてたみたいだけど、何も言わずにじっと見てると観念したように頷いた。
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