【第三章 異世界生活】

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 一段低いトーンの声がぼそりと響く。けど、 「だからこそ、わたしもお姉ちゃんのためにできる限りのことをします!」  次の瞬間には、バッと顔を上げてこっちの目をしっかりと見据えてくる。 「まずはお姉ちゃんに群がる羽虫はわたしが駆除します!!」  ホント表情もテンションもころころ変わる忙しいやつだ。  おとなしそうな外見とは裏腹に、目をキラキラさせて姉のために何かしようってのは評価するけど、 「シエナも心配してたし、無理はせずに冷めないうちにコロッケ食ってさっさと帰って休んだ方がいいぞ」  駆除される羽虫の側としては、家でおとなしくしててほしいよね。  オレの言葉に包丁娘はハタと手の中のコロッケにかじりつき、口が小さいからかそれこそリスみたいにサクサクと口の中に収めていく。 「ふぃふぇひょふふぁっふぇひょうふぁふぃふぃふぁふぇん」 「何言ってるか全然分かんねえよ」  このやり取りシエナともした覚えがある。その辺はさすが双子の姉妹ってとこか。
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