【第三章 異世界生活】

24/62
前へ
/353ページ
次へ
「逃げようったってそうはいきません! 正面突破は難しそうですから、今日はきっちり弱点を調べ上げさせていただきます!!」  おい、それ本人を目の前にして宣言することじゃねえだろ。 「やっぱりストーカーで間違ってねえじゃねえか」 「な!? 違います! 偵察です、斥候です、敵情視察です!!」 「まあ、なんでもいいけど仕事の邪魔はすんなよ。それで、今日は何をすればいいですかね?」  Fランクの依頼ってのは基本的にただの雑用であることがほとんどだ。荷物運びとか掃除とか。  で、オレはこうして橋渡し役を引き受けてくれた肉屋に来て、商店街の中でその日人手が必要な店へ手伝いに行って日銭を稼いでいるわけだ。 「それなんだけどよ、今日は薬屋の婆さんが薬の材料が足りないって言ってるから、取りに行ってもらえるか」  お、丁度いい。これなら帰らせる口実になるか。 「てことで包丁娘、ちょっと遠出になりそうだから今日のところは帰った方がいいぞ」 「あ、あの、どこまで行くんでしょうか?」  おい、スルーすんなよ。そんなおどおどするくらい知らない人に話しかけるのが怖いなら、帰って休んだ方がいいって。これ親切心な。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4604人が本棚に入れています
本棚に追加