【第三章 異世界生活】

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「そ、それで、や、薬草っていうのは、どんな、もの、ですか?」 「うん、とりあえず質問する前に少し休め」  町を出てすぐの森とはいってもリリアネスって町は王都なわけで、その名に恥じぬ規模を持つ町を抜けるころには、包丁娘のやつはバテバテだった。  ワンピースからのぞく肩を薄桃色に染めて呼吸とともに上下させている。まあ薄桃色なのは顔から腕から全体だけどさ。  最近はよくなってきているとは言っていたけど、家から出たこともあんまりないらしいし体力がないのは仕方ないか。  言われた包丁娘といえば最初は何か言いたげな目を向けてくるも、観念したように素直に木陰に向かった。  まあ町も近くの割にうっそうとしてる森だから、木陰には事欠かねえしな。  森の先を眺めつつ、片手に持った籠の中から一枚の紙切れを取り出す。  最後に肉屋のオッチャンがとった薬草を入れろと言って投げてよこしてくれた籠の中身だ、十中八九とってくる薬草のことが書いてあるんだろう。
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