【第三章 異世界生活】

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「ふむふむ。凍傷に効く薬のもとになる薬草ね」  葉の形は特に変わったところはないけど、今の時期なら目立つ青い花を咲かせている、か。  それなら探すのは簡単かね。 「そういや、こないだ最近減りが早いって言ってたのがこれだったか」  薬屋のばあちゃんは気のいい人で、商店街によく出入りするようになったオレに色々気を使ってくれたんだ。  なんか近所の駄菓子屋のばあちゃんを思い出すノリだったな、アレ。 「それってこんな街中でそんなに売れるものなんですか?」 「なんだ包丁娘、もういいのか」  気付けば、さっきまで休んでいたところからこっちへ歩いてきていた。 「はい、今日はしっかり弱点を調べ上げるために、置いて行かれるわけにはいきませんから」  たしかに相手するのが面倒くさいと少しばかり思ってはいるけど、体力のない女一人を森の中に放置して平然としてられるほどの肝っ玉はオレにはねえよ。
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