【第三章 異世界生活】

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「そうです。ですから声を聞いて自覚さえ持てば、ちゃんと心器を使えるようになるはずです。自覚することは大事ですよ、それを深めることで能力が増えたりもするそうですし」 「へぇ、心器って強化されるのか」  まあ、オレの場合は強化以前にまともに使えてないわけだけど。 「強化というより覚醒ですね。強すぎる心器は本来のスペックを引き出せていないことが多いんです。まあ、お姉ちゃんは強い心器をしっかりと使いこなしてますけどね!」  ドヤ顔やめい。お前のことじゃねえし。  とは思うものの、キャッキャとはしゃぐ姿を見ていると文句を言う気も失せるな。 「それで、心器の声を聞いたことは……。その顔を見る限りなさそうですね。それじゃあ、強く願うこととか、目的はありませんか。それさえあれば心器とつながるきっかけになりますよ」 「そんなこと言われても、オレ特にやりたいこととかはないからなぁ」  隠居生活はたどり着きたいとは思うけど、アレは目標として頑張るやつじゃなくて、結果としてそうなりたいってやつだしな。  どれそれのプロを目指すとかではなく、宝くじが当たったらいいなってタイプの言ってしまえば夢であり妄想であり妄言に過ぎない。 「むぅ、でも心器が出た以上その核となる思いはあると思いますよ」
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