【第三章 異世界生活】

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「あ、楽しく生きたいとは強く思ってるぞ」  この魔法の世界に喜んできたのも面白そうだからだし。  適当にへらへら笑って返すと、ため息交じりに返される。 「なんですか、その目的意識のない最近の若者って感じの代表例みたいなのは」  こっちでもそういうの言われたりすんのな。  まあ、古くは古代エジプト時代から使い古されたセリフだし、人が人である限りいつでもどこでも言われてるんだろう。 「オレはこう見えて真面目だからな。大人がそう言う以上、最近の若者としては目的意識なんて持っちゃ失礼だろ」 「最低の責任転嫁ですね」 「責任を押し付けるのは得意だからな」  大げさに胸を張って見せると、包丁娘はあきれたように力の抜けた笑みを浮かべる。  だけどそれもホンのわずかな間だった。  左手側の木のかげから何かがオレたちに向けて飛びかかってきたのだ。 「危ねえ!」
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