【第三章 異世界生活】

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 とっさに包丁娘を後ろ手にかばおうとするも、 「キャッ!?」  運悪く包丁娘の方も驚いてとっさ手を突き出してしまっていて、結果的にオレはかばおうとした相手に突き飛ばされ、飛び出してきた影に正面からぶつかってしまうのだった。  まあでも、結果オーライだ。相手もオレがバランスを崩して前に出ることは予想外だったらしく、簡単に弾き飛ばされて距離があく。  急いで体勢を立て直してさっきの影に目を向けると、そこにいたのは黒い大型犬だった。 「魔力を感じませんし、魔物ではなく普通の野犬みたいですね」 「魔物は出なくても、こういうのはいるわけね。てか魔物じゃなくても危ないだろ、コレ」 「文句は後にしてください! 来ますよ!」  力強く走ってくるワンコに対して、オレも一歩前に出る。  魔力障壁は魔力のこもってない攻撃では突破できないってのはクリスが教えてくれた。んでもって、こいつは魔力を持たないただの犬ってことは、 「ッつ!!」  突き出した腕に噛みついてきた犬の牙は、魔力の壁に阻まれてオレの肌に届くことはなかった。
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