【第三章 異世界生活】

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「魔法に近い存在、ね」  そういや、あいつらって魔力の塊みたいなものだったか。だから、足が折れても魔力が減るだけですぐ直るし、攻撃を受ければ傷はなくても魔力が減って色が薄くなる。  何日か前、訓練中にアリシアさんに教えられた。だから倒すには魔力を使い果たさせるくらいダメージを与えるしかないとも。  オレたちの周りの景色が、薬草を取りに来た森の中という場面が、世界そのものが塗り替わっていく。  青く青く、透き通るようにどこまでも青く。森も大地も。空も、そこに浮かぶ太陽さえ氷上を思わせる青へと染まっていく。  そんな世界の中で、オレたちの前にそびえ立った氷柱の頂上からこちらを見下ろしていた影が吠える。  その咆哮に世界が揺れた。いや、あいつはこの世界の核でありこの世界そのものなわけだから、世界自身が雄たけびを上げたと言った方が正しいのかもしれない。 「ブラン、カー」  威圧感に震える声でその名を呟いたのはどちらだったのか、はたまたふたりともだったのか、その程度のことを理解する余裕すら今のオレたちには残されていなかった。
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