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声に反応したときには、すでに目の前に迫られていた。早すぎだろッ!?
とっさのことで尻もちをつくように氷の地面に倒れこむのが精一杯だった。けど、おかげで鋭利な爪の一撃は頭の上を通り過ぎる。
包丁娘の方もオレと同様だった。お互いの視線が交錯し、瞳の中に同じ判断を見てふたり頷く。
背中を見せる余裕はねえ! とりあえず、反撃しなきゃやられるだけだ!!
地面に着いた拳を握る。紙一重の危機に瀕したからかどうにか体は言うことを聞くようになってる。
「青の偽典、3章3節!」
包丁娘が詠唱に入ると同時。全力で体を跳ね上げそのままの勢いを拳にのせて、振り切られた剛腕を上へと殴りあげる。
「【氷柱舞(アイスキュワー)】!!」
オレはバックステップで飛びすさり、包丁娘の声が響く。
後ろへと飛ぶオレの腕をかすめながら、狼男の空いた腹部に向けて地面から生えた幾本もの氷の槍が襲い掛かっていった。
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