【第三章 異世界生活】

41/62
前へ
/353ページ
次へ
 合図も決めてないのにタイミングばっちり。案外オレたち息が合って…… 「いきなり飛び出さないでください! 危うく一緒に串刺しにするところでしたよ!」  ねえな。お互い勝手に動いた結果がたまたまかみ合っただけか。  でも、相談しているヒマもない。 「グルルゥゥゥオオオォォォ!!」  氷の槍は全て直撃したってのにピンピンしてやがる。  まあ、魔力の塊であり倒しきらない限り傷つけても再生するという空白獣の性質を考えればしかたないか。 「距離を取って魔法を撃ちまくれ! あとはこっちで勝手に合わせる!」 「ちょっと。待ってくだ……」  返事が全部返ってくるのは待たない。雄たけびを上げる人狼をめがけて、息を止め姿勢を落として前に出る。  思考を止めろ、思索をやめろ、思惟をするな。  少しでも考えちまえば恐怖で頭が埋め尽くされるのは分かりきってる。だったらんなもん捨てちまえ。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4604人が本棚に入れています
本棚に追加