【第三章 異世界生活】

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 叫びながら包丁娘を押し倒すようにして、氷の大地に転がる。次の瞬間。 「ルオオオォォォォォォオオオッ!」  まるでではなく、文字通り吹雪そのものがさっきまでオレたちがいたところを吹き向けていく。  氷のブレス。前に青ライオンに氷弾を撃たれてなかったら気付けなかったかもな。物理型の見た目でも、両刀使いじゃないとは限らない。  吹雪の咆哮が水弾の嵐を吹き飛ばし、人狼が姿を現す。  こっちからの攻撃に加え、吹雪を放ったことで魔力を多少は削れたのか、だらりと両腕を垂らしたまますぐには襲ってこない。  まあ削れてたとしてもほんの少しだろうけどな。相手から感じる圧力は全然減ってないし。どちらかと言えば予想外の反撃をくらって様子見って方が正しいかも。  立ち上がって包丁娘の前に出る。人狼からの鋭い眼光に込められた害意に腰が引けそうになるけど、こっちも視線は外さない。  素早い動きに加え、鋭い爪を備えた太い腕から繰り出される重い一撃。さらに大威力のブレスまであるとなっては一瞬の気のゆるみが命取りになりかねない。
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