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「あ、あの! もしかしたらここから抜け出せるかもしれません!」
「え、マジでか!」
あ、やべ。言ったそばから振り返っちまった。
視界の外から迫る圧迫感。回避、は間に合わない。なら、
「ぐッ!!」
あえて一歩踏み込み、魔力を集めた両腕で人狼の手首の当たりを受け止める。
それでもなお両腕にしびれが走るレベルだけど、爪にやられるよりはましだ。
魔力が高すぎるってのも難儀なもんだな。目で追っていなくても、なんとなくの位置は分かる。でも、なんとなくだけでもう一度はやりたくねえな。
「それで、抜け出せるかもってのは」
振り返らないまま叫ぶ。
「ほんの少しでいいので時間を稼いでください! この空間から抜け出る準備をします!」
具体的な説明はなしか。足音から包丁娘が離れていくのが分かる。
「まあ、詳しく聞いてる余裕もないからなっとぉおお!!」
瞬間的に距離を取り、再度打ち込んできた人狼の一撃を派手に飛んでかわす。
こんなの相手に時間稼ぎってのは無理ありすぎる気もするけど、やるしかないか。
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