【第三章 異世界生活】

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 近距離からの殴り合い。  リーチの差でも体重差でも完全にオレが不利だけど、離れたところへの攻撃方法を持たないオレがこいつとやりあうにはこれしかない。  体の芯に響く重い音が連続する。  爪と拳のぶつかり合い。  いくら障壁があるとは言ってもまともにくらっていたらが身がもたない。  だから狙うは人狼の腕や爪の側面。ぶん殴って狙いを逸らし、足も使ってどうにかこうにか直撃を避ける。  それでも人狼の一撃は速くて重い。逸らしきれなかったいくらかが、肩やら腕やらをかすっていく。 「ハァハァ、畜生。もうチョイもってくれよ」  ただそれだけのことで、魔力がガシガシ削られていく。  魔力障壁も肉体強化も、ピンポイントで使うとき使うところだけ魔力を多めに送るという技術は存在する。  けど、オレはそんなことはまだできない。だから、ありったけの力を垂れ流しにし続けるしかない。
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