【第三章 異世界生活】

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「青の偽典、真章1節!」  澄み切った声が青の世界に染みわたる。  人狼の遥か後方。目を閉じ、祈るように言葉を紡ぐ少女の足元に魔法陣が広がっている。  やっぱりさっきから、包丁娘の詠唱は魔導書魔法とどこかが違う。けど、分かることはある。  魔導書魔法の発動には詠唱ともうひとつ、発動したい魔法に対応した魔法陣の作成が不可欠だ。  けど、魔力ってものは本来目に見えない。だから魔法陣を描いても見えないのが普通なんだ。  ただし、例外はある。シエナが上級魔法を使ったときもそうだが、大量の魔力を一気に使うために魔力密度を上げると可視化される。  つまり、今包丁娘が使う魔法は上級クラスの大魔法! 「【九蛇の氷劇(ナインス・クリティカル)】!!」  包丁娘を中心に九匹の透き通る青の蛇が鎌首をもたげる。炎と氷の違いはあるけどアレ、シエナの魔法にそっくりだな。  で、これでどうやってこの空間から脱出すんの?
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