【第三章 異世界生活】

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 けど、人を支えてる状態でのた打ち回るわけにもいかない。我慢、ここは我慢だ。 「おい、大丈夫か?」 「ありがとうございます。少しふらついただけですから、大丈夫ですよ」  笑って離れる包丁娘だけど、すぐにまたへたり込んでしまう。 「ホントに大丈夫か!? さっき魔法使った時も血を流してたし」 「気づかれてましたか」  たはは、と笑いながら包丁娘は胸元から何かを取り出す。  ちょッ、ワンピースの胸元を伸ばして手を突っ込むもんだから、谷間がくっきり見えちまってる。  人のこと害虫呼ばわりしてるくせに、無防備だろ。まあ、眼福だからいいけど。  包丁娘がとりだしたのは、小さな青い宝石がいくつかついた首飾りだった。 「私の体調不良は高すぎる魔力量が原因で、特に強い魔法を使うと魔力が暴れて体がもたないんですよ」 「体がもたないって。全然大丈夫じゃねえだろ。急いでギルドに連絡、は取れねえか」  クソ、こういうとき緑の使い手なら早いのに。なら、背負って走るか。
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