【第三章 異世界生活】

55/62
前へ
/353ページ
次へ
「いえ、ホントにもう大丈夫ですから」  包丁娘は優しく笑い、愛おしそうに首飾りをなでる。 「強い魔法を使ってすぐは大変ですけど、それ以外のときはお姉ちゃんが集めてくれたこの彩色片が魔力を抑えてくれますから」  これがないと何もしてなくても魔力が暴走して危ない、と包丁娘は教えてくれる。昔は魔力の制御が全くできず、このままでは長くはないと医者に言われたことがある、とも。 「さいしきへん?」  聞きなれない、でも聞き覚えのある言葉に首をひねる。どっかで聞いた気はすんだけど、どこだったっけ。 「特殊な力を持った魔力の塊ですよ。人工的に作られたものもありますけど、基本的に空白獣を倒した時に魔力の欠片が集まってできることが多いです」  手の中で輝く石を優しく見つめる包丁娘を眺めていると、ふと思い出す。  そういや冬休みに初めてシエナに会ったとき、彩色片がどうとか言ってたな。アレか。 「彩色片って手に入れるまで効果が分からないんですよ。市場に出回る数も少ないですし。なので、ほしい効力の物を手に入れるためには空白獣を手当たり次第に狩るのが一番なんです」
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4604人が本棚に入れています
本棚に追加