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「ああ、それでシエナは……」
と、まずい。これは言わんほうがいいか。言葉の途中で口慌てて口をつぐむけど、どうやら遅かったらしい。
「そうです。お姉ちゃんはわたしの魔力を抑えるために、中等部に上がる前からずっと戦い続けてくれてるんです。わたしのせいで戦うことになってしまっているんです」
やっぱ、地雷だったらしい。一気に空気が沈み込む。
「それに、今日はあなたにも迷惑をかけてしまいました」
「いや、迷惑って。あそこから逃げ出せたのはお前のおかげだろ」
「いえ、そもそもあの空白獣が襲ってきたのは、たぶんわたしがいたからです」
座り込んだまま包丁娘は申し訳なさそうに見上げてくる。上目使いやめい。上からだと胸元も危ねえし。
「お前が空白獣に狙われたってのか」
「正確にはわたしの魔力に惹かれたのでしょう。最後に掴まれたときに魔力を持っていかれました」
「掴まれたときって、空白獣がいきなり苦しみだしたアレか?」
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