【第三章 異世界生活】

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 オレの問いかけに包丁娘はうなずく。けど、包丁娘自身も腑に落ちないことがあるらしく、その動きは弱々しかった。 「はい、その時です。突然苦しみだした理由は分かりませんけど」 「分からないって、タイミング的にお前の魔力を奪ったからじゃねえの」 「ええと、人間は他人の魔力を取り込むと普通は馴染まずに体を傷つけてしまうんです。ですけど、空白獣はそんなことはありません。彩色空間を広げるために他から魔力を集めるのは良くあることのはずなんです」 「じゃあ、予想以上にお前の魔力が多かったとかじゃねえの。ほら、食い過ぎて腹一杯みたいな」  こっちの力を吸収する敵に許容量以上の力を吸わせて倒すってのは、漫画とかでは割と良くある手だし。 「そう、なんですかね」 「そうそう、そんな感じだって」  というか、違っていたとしても考えて分かることでもないだろう。  納得いかないのか包丁娘はしばらく首をひねっていたけど、結局は何も思い浮かばなかったのか、吹っ切るように首を振る。
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