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「じゃあ行くぞ」
ゆっくりと歩きだす。一歩一歩確実に。力の入れ方に気を付ければ、まあそんなでもないな。
オレが歩くことに集中してる間、包丁娘は後ろで借りてきた猫みたいになっていた。
ゆっくりとした時間。それを先に破ったのは、包丁娘だった。
「あの、ありがとうございます」
「へ? ああ、気にすんなって。たしかにちょっと重いけ……」
「わたしそんなに重くないですよッ!!」
「ぐへッ。首を絞めるな、首を!」
というか、暴れんな。支える腕痛えんだって。
バタバタ騒ぐ包丁娘だったけど、しばらくすると疲れたのかオレの肩に力なく頭を預けてきた。
「そうじゃなくて、もっと色々です」
「色々?」
「はい、色々です」
耳元で弱々しい息遣いが聞こえる。やべえ、いろんな意味でやべえよコレ。
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