【第三章 異世界生活】

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 そういや、頼まれてた薬草取ってきてねえ。  はぁ、また薬草摘みは失敗か。  呪われてんのかね、オレ。事情を説明すれば薬草を摘んでこれなくても怒られることはないだろうけど、報酬はお預けか。  日銭を稼いで暮らしている身としては、厳しいものがある。  もらえる予定だった報酬がなくなったと聞くと、途端に骨折り損のくたびれもうけな気がしてくるし。  逃げのびるために戦ったんだから逃げれりゃそれでよかったってのにな。  まあでも、 「ちゃんと聞いてますか?」 「おー、聞いてる聞いてる。シエナはすごいなー」 「そうです。お姉ちゃんはすごいんです」  オレの棒読みにも気づかずに自慢を続ける包丁娘。そのはしゃぎっぷりに比例して、背中にやわらかいものが押し付けられる。  得も言われぬ幸福感。  これさえあれば報酬には十分だよな!
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