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「というか、あれからもう三日も経ってるんだから、完全に治ってるでしょ!」
バンと机を叩いて身を乗り出してくると、その動きに合わせて赤く長いツインテールがホントの尻尾みたいに飛び跳ねる。
まあ、たしかに手足に痛みはほとんどないけどさ。
「だから正義の味方としては、適当な理由を付けてサボろうとする心の弱い人間をこそ助けるべきだって話だろ」
「そもそも、あたしは別に正義の味方なんかになった覚えはないわよ!」
「えー。オレのこと2回も助けてくれたじゃんか」
「だからアレはついでよ、ついで」
真っ赤な浴衣の長い袖をひるがえし、自分の席に腰を落ち着けるシエナだったけど、
「毎晩オレの手足に回復魔法もかけに来てくれたし」
「それはあんたが隣の部屋でずっと痛い痛いうるさいからでしょうが!」
またすぐに立ち上がることになっていた。そうカッカすんなって。
「へぇ。回復魔法が使えるってことは、シエナさんって赤だけじゃなくて無の書の魔法も得意なんだ」
ひとつにくくった緑の髪をさらりと揺らし、オレとシエナが騒いでいるのをニコニコと見守ってくれてたクリスが感嘆の声を漏らす。
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