【第四章 反省と後悔と】

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「お前の心器ってアレだろ。赤の書を完全に使いこなすっていう真っ赤なドレスのやつ」 「シロー、違うよ。『赤の貴婦人(カーディナル・レッド)』の効果は赤の魔力を完全に制御化におくことだよ。赤の書を使いこなすのはその結果」  え、そうだったっけ。首をひねって思い出すと、たしかにそんな風に説明された気がする。けど、それならそれでまた別の疑問がわいてくる。 「だったら問題なくねえか。無の書ってどの魔力でも発動できるんだろ?」 「そこも誤解があるかな。魔力ってのは元々色がないんだよ」  クリスは言葉を選ぶように首をひねりながら続けてくれる。 「それぞれの得意属性っていうのは、それをどの色に染められるかってことなんだ。で、無の書の発動には、そういう風に色づく前の魔力が必要になるんだよ」  えっと、つまりだ。 「魔力を水だとして、無の書以外はそこに絵の具を溶いて使うわけか。そんで、無の書だけは絵の具を溶く前のただの水がいる、と」 「それでいいと思うよ。その例えなら得意属性は持ってる絵の具の種類って考えればいいしね」
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