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「話って、何を聞きたいんだ?」
内心の動揺を隠して平坦な声で訊ねる。こういうのは得意なんだよなオレ。
「そりゃあ色々とね。君、違う世界から来た人でしょ」
「その通りなんだけど、どこで分かった?」
異世界とか言った覚えはないんだけど。
「ハハッ、ボク達くらいの年代で心器があるならDランクは確実にあるよ。心器があるのにそれ以下のランクの相談してるってことは、心器に目覚めてこの世界に呼ばれたんだろうって思うよ」
「そうなのか。ということは、さっきDランクって言ってたしそっちも心器を持ってるのか」
「いやいや、ボクはまだ持ってないんだ」
「クリスは心器こそまだだが、その堅実な仕事ぶりは新人を任せるにはちょうどいい。それに同じ新入生として少年もいろいろ聞けると思うぞ」
そうだな。断る理由も特にないし。
「それじゃあこっちからもお願いしようか。クエストに付き合ってくれ」
「うん喜んで」
クリスの差し出してきた手を握る。すげえすべすべしてる。これはやっぱり。
「ちなみにぃ、クリスくんは男の子ですよぉ」
「えっ。あっいや、そうですよね。見たら分かりますよ」
そうか。男の娘の方だったか。
よく間違われるんだと照れたようにクリスは笑う。男だとわかっていてもかわいいものはかわいい。
……まあ、世の中にはこんなかわいい子が女の子なわけがないって名言もあるしな。
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