【プロローグ】

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 冷静に状況を確認するというのは大切だ。人は慌てると判断力を失い、しばしば間違った結論を下す。  だから焦った時こそ落ち着いて自分の置かれた立場を確かめ、状況を打開する手がかりを探すべきである。それが賢いやり方ってもんだ。  でもまあ、オレはとても賢いとは言えない男なわけで、 「うぎゃぁぁぁぁぁぁあああ!」  叫び声をあげながら、全力疾走の真最中ってわけだ。  走る。とにかく走る。薄暗い森の中を、わき目も振らず走り続ける。そもそも、この森の中ってのもおかしい。受験を間近に控えた中三の冬休みってことで、オレは気分転換がてら近所のちっさい神社に行った。  そこでお参りして、閉じてた目を開けたら、深い森の中ってわけだ。神社の周りは木々が覆っていたがこれはない。オレんちさすがにこんな田舎じゃねえよ。  そこまでまだいい。良くはないけどいい。オレが走り続ける最大の理由は、 「青いゴリラって何なんだよこんちくしょぉぉぉぉぉぉおお!」  後ろから化け物が迫ってきてるというわかりやすい理由だ。  ちなみに、このゴリラもどき体長三メートルくらいありそうなうえ、頭に厳つい角まで生えてやがる。しかも三本も。マジで何なんだよ、コレ。
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