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「よし、それじゃあふたりともついて来い。地下の転移室に向かうぞ」
「イロちゃんまってくださいよぉ。シロウさんに仮ギルド証をわたさないとぉ」
はやるイロさんを呼び止めたアリシアさんは定期券くらいのサイズのカードをかざしてみせる。
仮って。どうせ後できちんと本物を作るわけだしいるのかそれ。
あっ、ギルドの依頼で動いてるのを証明するためにいるのか。証明する必要のある事態が起こるかはしらんけど。
オレの顔を見て説明の必要を感じたのかアリシアさんは、
「転移陣を使用できるのはギルドに登録している人だけなのですよぉ」
言いながらカードをオレではなくイロさんに渡す。
あれ、その仮証はオレのでは?
受け取ろうと出しかけた手は、腕が伸びきらない中途半端な格好で止まる。
「わたしの分の魔力は流してありますからもう一人分はイロちゃんにお願いしますねぇ」
「そうか、すまん転移にギルドカードがいるのは忘れていたな。あまり魔力は残っていないが、それくらいならお安い御用だ」
イロさんはカード片手に自然体で目を閉じる。
オレ置いてけぼり。とりあえずこの手は下した方がよろしいでしょうか。
「仮のギルド証は正規のメンバーの二人以上が魔力を流さないと機能しないんだ」
止まっているオレの顔をひょいと覗き込んでクリスがフォローを入れてくれる。
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