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「そういうことか」
ちょっ、だから顔近いって。しかもやっぱなんかいい匂いだし。
内心の動揺を隠すのに精一杯で少しぶっきらぼうな感じになってしまったけど、クリスに気にする様子はない。
「そういうことなのだ。二人が流しても一日くらいしか効力持たないしね」
ギルドの設備を悪用されないように気を配ってるんだ、と言って笑うクリスはほんとうにかわいい。
これで男ってんだからさすがは異世界。
「さっきから転移陣とか設備とか言ってるけど、転移って結構大がかりなもんだったりするのか」
「うーん。使う分には簡単だよ。行きたいところにつながってる魔法陣に魔力を流せばいいだけだし。でも地脈の力を借りる術式だから設置するのが難しいんだよ」
「地脈?」
「世界そのものに流れる魔力とでもいえばいいのかな。そんなすごいものの力を借りるわけだから、転移陣を作れる人自体が少ないし作るにも何カ月もかかるんだよ。そのうえ作るのに必要な国の審査を通るのが大変っていう理由もあるしね。ギルドか国の施設くらいにしかないんだ」
さっき行きたいところうんぬんって言ってたし、好きなところに行けるわけでもないうえに、設置にそこまで手がかかるのか。いろいろ面倒そうだな。
まあ、使うだけのオレは便利なものとだけ思っておけばいいか。
「少年、終わったぞ」
イロさんがカードを渡してくれる。これでオレも転移を使えるわけか。
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