【第一章 赤の魔女】

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「まあそもそも心器って本物の魔法の領域だから、なにがあってもおかしくはないのかもね」 「本物?」  え、魔法に本物とか偽物ってあんの? 「うーん。そこもまだ知らなかったんだ。でもちょっと長くなるかもしれないし、説明は帰ってからにする?」 「いや、今たのむ。魔法関係のことは早く知っときたいし」  それに何も起こらな過ぎて飽きてきたとこだし。口には出さんけど。 「そう。なら簡単にだけ説明しようか。でも、周りへの注意はおこたらないでね」 「分かってるって。もちろん薬草の方もちゃんと探してるぞ」  全然見当たらないけどな。 「さてと、じゃあまずは『空白(ブランク)』から説明しようか」  森に入ってからオレの後ろを歩いていたクリスだが、ここで横に並んでくる。  そっちのほうが話しやすいしな。 「この世界を一枚の大きなキャンパスだと考えてみて。そして物も動物も魔物も人も全部そこに神様が描いた絵なの」  とりあえず、白い紙にひげ面のジイさんが人とか動物とかを描いてるところを想像する。  神様といえばひげの生えたジイさんだよな。 「でも神様って飽きっぽかったのか、キャンパス全部を埋めきらずにところどころ白いまま残しちゃったんだ」  イメージの中のジイさんが筆を捨てて鼻をほじりだす。自分でイメージしといてなんだが、ちょっとイラッとくる。
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