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「その世界の何も書き込まれてない部分が『空白(ブランク)』って呼ばれてるんだ。神様云々はただの言い伝えだけどね」
「この世界のどっかにその『空白(ブランク)』って何もない場所があるのか?」
「ううん違うよ。『空白(ブランク)』は目には見えないけどどこにでもあるんだよ。それこそこの世界に限らずキミがいた世界にもね」
言いながらもクリスは時折視線を周囲に走らせている。オレも真似してみるけど、やっぱり何も見かけない。
「そして、その世界の何も書かれていない白紙の部分に自分で絵を描くことが魔法なんだよ」
「絵を描くことが魔法?」
「さっき人とか物とか全部絵に例えるとしたでしょ。つまり世界の空白に絵を描きこむってことは、」
「人でも物でも好きに作れるってことか!?」
「そうだよ。なんでもあり、万能の力、神の領域、それが本物の魔法なんだ」
マジかよ。魔法ってそんなすごいもんだったのか。
ん? でもさ、
「そんなもんを皆が使えたらやばいんじゃねえの?」
「皆が世界を好き放題できるなら、たしかに危ないよ。でもここで本物のって部分が大切なんだ」
いきなり立ち止まったクリスは右手を掲げ、
「緑の書1章1節【風撃(ブラスト)】」
強い風が木々を揺らし、木の葉が舞う。
いきなり何すんだよ。
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