【第一章 赤の魔女】

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 こういうときは先手必勝。てことで、 「うりゃっ」  一気に踏み込んで、全力で蹴り飛ばす。  おー、飛んだ飛んだ。  相手が小さいせいでこれしかやり方が思いつかなかったわけだけど、なんかこれ弱い者いじめ感が酷い。  小動物を蹴りつけてるわけだし。平気でこんなのボコれる勇者ってさすがだわ。マジ鋼の心。  この程度で罪悪感を覚えるやつがチキンなだけだろって気もするけど。  もちろんオレは勇者なんてガラでもないし、追撃とかはやめておく。  魔力で強化した全力で蹴り飛ばしたからか、今の一発で目の届かないくらい遠くに吹っ飛んでくれたし。  あ、でも進んでた方向に蹴っ飛ばしちまったな。まあ、どこに向かうとかはないんだし、道を変えればいいか。  一応クリスにも言っておこうと振り返ると、 「なんで、こんな所にスライムが!?」  なんかすげえ驚いていた。え、なに。スライムってそんなレアものだったの? そしてあのブヨブヨの呼び名はやっぱりスライムなのか。 「大変だよシロー。早くここから離れよう」 「どうしたんだよ、そんな慌てて。もしかしてスライムってなんかヤバいやつなのか」  オレ、思いっきり蹴っちまったんだけど。
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