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「ん? 今なにか聞こえなかったか?」
立ち止まったオレに、クリスも足を止め振り返る。
「ボクも聞こえた」
空耳ではないか。耳を澄ますと、やっぱり聞こえる。それは子供の泣き声だった。
「こっちか」
声のする方にクリスとともに走り出す。やっかいごとの匂いはするけど、スルーってわけにもいかんでしょ。
数分とかからずたどり着いたところで泣いていたのは小学校中学年くらいの女の子だった。
「こんなところでどうしたの?」
クリスがしゃがみこんで尋ねる。目線を合わせたんだろう。
こちらを警戒しているのか、それとも動揺が収まっていないのか。
しばらく泣きじゃくるままだった女の子なんだけど、泣くのが収まってくるとなぜか視線がこっちに向いた。
それはそれはじっと見つめてくる女の子。小さい子の視線ってなんか圧力あるよね。赤ん坊とかだともう最強。小賢しさを見抜かれてる気がしてくる。
「王様?」
小首をかしげてかわいらしく聞いてくるんだけど、えっとなんか新しいフラグ?
オレと王様が似てたりすんの?
「シロー、頭の上」
混乱を見かねたのかクリスがそっと教えてくれる。
ああそうか、心器出してるんだったな。動き回っても落ちないし忘れてたわ。
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