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「後ろだッッッ!!」
「えっ!?!?!?」
突然のおっさんの叫びが届いた時には、強い衝撃とともに視界が横にすっ飛んで行く。
「がはッッッ」
氷の木をへし折ってやっと体が止まる。けど、さすがは魔法。【魔力障壁(ウォード)】のおかげで目立った外傷はない。
全身スゲー痛いけどな。
痛む体にムチ打って何とか立ち上がり、吹き飛ばされた方向ににらみを利かせる。
あれくらいで倒せたとは……いや正直ちょっと思ったけど、どっちにしたって、
「いくらなんでもあれで無傷はないだろ」
青ライオンさんはピンピンしていらっしゃった。
ギャグ漫画ばりに吹っ飛んだくせに、あっちもさすがは『空白獣(ブランカー)』ってところか。
でもまあ不幸中に幸いというか、さっきの蹴りでやっこさんの意識は完全にオレひとりに向けられたらしい。近くに転がってるおっさんには見向きもしていない。なら、
「三十六計逃げるにしかずッ!」
オレがしっぽ巻いて逃げだすと、青ライオンもすかさず追ってくる。これでおっさんはたぶん大丈夫。
「オレが来た方向に足跡が残ってるから、それたどっていけッ! 出口があるッ!」
氷の木をへし折った背中が痛むのを無視して、おっさんに叫ぶ。魔力はないけど体は無事って言ってたし逃げられるだろ。
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