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「シロー、大丈夫!?」
「うおっ!? て、クリスか。今いいとこなんだから驚かせんなよ」
さっきはちらっとしか見えなかったけど、敵に近づく分だけ動きも派手になってきてるからもう少しではっきり見えそう。
「いいとこ?」
クリスが小首をかしげると、それに合わせて頭の後ろでくくった緑の髪もさらりと流れる。急いできたからなのか頬が上気しているのが白い肌に目立ち、息も荒くなっている。
……クリスは男、クリスは男、クリスは男。よし、もう大丈夫。
「いや、なんでもない。助け呼んできてくれてありがとな」
クリスは緑の書の魔法の使い手だ。緑は風と音の属性で空を飛んだり遠くに声を届けたりってなことができたはず。それもあって女の子を任せたわけなんだけど、それにしたってけっこう早かったな。
「あ、うん。どういたしまして。でもボクたちは注意勧告と入れ違いになっちゃったみたいだけど、この彩色空間ことは他の人が依頼を出していたんだって。それで依頼を受けてこっちに向かってた彼女に会って一緒に来たんだ」
「それで早かったのか。どっちにしろ、来てくれて助かった。それで、任せた女の子は?」
「ちゃんと町まで送り届けてきたよ。それと来る途中であの子のお父さんにも会ったよ。怪我は軽いみたいだったからここに来るのを優先したけど、出口の位置は伝えられたからたぶんもう外に逃げられたと思う」
「そりゃ良かった。なら後は……」
「【赤の魔弾(レッドバレット)】!!」
言い切る前に赤髪の声とそれに続く爆音が響く。つられて視線を向けると、
「あーもう。ちょこまかと面倒くさいわね!」
赤髪は苛立ちまぎれの声を上げ、帯を足元に落としそのまま一気に浴衣まで。
「って、おい。あいついきなりなに脱ぎだしてんだ!?」
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