【第二章 銀嶺館】

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「残念ながらギルドランクはFということになりますねぇ」  ギルドで目を覚ましたオレへの第一声は不合格通知だった。 「結果的に大きなけがもなく人命を救助できましたけどぉ、一歩間違えば命を落としていましたよぉ。いくらなんでも無謀すぎます」  最後はアリシアさん特有ののんびりさがなくなっていた。にこにこ笑ったままなのがまた怖い。 「はい、すいませんでした」  ギルドの酒場にある椅子に座らされていたオレだけど、自然と椅子の上で正座をしてしまっていた。 「まあ、なにより結局依頼の薬草を取ってきていませんしねぇ」  そうですよね、はい。  依頼の途中でやっかいごとに首突っ込んでそのまま気を失ったわけで、もちろん薬草摘んでる暇なんてなかった。もう日が暮れ始めてるからもう一回てわけにもいかんし。何より魔力ももうない。 「というわけで、ギルドランクFで登録させていただきましたぁ。これがシローさんのギルドカードになりますぅ」 「謹んで頂戴させていただきます」  必要以上にへりくだった物言いに傍らに立っていたイロさんが苦笑いを浮かべ、 「そう気を落とすな少年。入学当初は学校からクエストを受けることは多くない。多少苦労はするだろうが少しの辛抱だ」 「はい、がんばります」  いや、オレの言動の理由はアリシアさんが怖いからなんですけどね。
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