【プロローグ】

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 少女が飛び出し、ゴリラもどきが拳を振り上げる。  同時に動き始めた両者だったが、ゴリラもどきがその腕を上げきるころには少女は懐に飛び込み、化け物の顎に向けて銃の引き金を引いていた。  ズガン、と重たい音が響く。  ゴリラもどきがバランスを崩して仰向けに倒れ、少女は後ろに飛びのいて再び距離を取る。  一発で5メートルくらい飛んだ動きにも、その銃の威力にも驚かされるけど、 「光る、球?」  その銃口から撃ち出されたのは弾丸ではなく、赤く輝く球形の何かだった。  そもそも、弾丸なら目では追えないはず。ぎりぎり目で追えたということは、あの赤いのはそこまで速くはないのだろう。  あれはいったい何なのか。その疑問に直接の答えはなかった。けれど、どういう感じのものなのかは、少女の次の行動が示してくれた。  今にも起き上がらんとするゴリラもどきに不敵な笑みを向けながら、右足で強く地面を踏みつけ、 「赤の書2章3節【炎柱(フレアピラー)】」  叫ぶと同時に、ゴリラもどきの足元から2本の火柱が上がり、絡まりあって天へと上る。数秒と持たずに消えゆく化け物を見つめながら、オレは自然とつぶやいていた。 「ファンタジーだなぁ」  ずいぶん間の抜けた感想だけど、それしか出てこない。  というか状況についていけずに、頭が全く動いていないのが分かる。理解しろって方が無理あるだろ、これ。
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