【第二章 銀嶺館】

4/35

4604人が本棚に入れています
本棚に追加
/353ページ
「それでどうされますかぁ?」  どうするかと訊かれたら魔法を覚える必要はあるわけで、しかも教えてくれるのが美人巨乳メイドときたら、 「ご鞭撻のほどよろしくお願いします」  断る理由は何もない。即座に立ち上がって頭を下げた。 「それでは訓練場の使用許可をマスターに申請しておきますので明日もギルドに顔を出してくださいねぇ」  さっそく明日からか。今日はがんばって疲れたから明日は休んで明後日からが…… 「シローさん?」 「さっそく訓練つけてもらえてうれしいなあ」  口に出してないのに察するはやめてもらえませんかねぇ。オレが顔に出やすいだけなのかもしれんけど。  意識して取り繕ってればそうでもないんだけど、気を抜いてるときは昔から妹にもよく考えてること当てられたしな、なんてことを考えていてふと気付く。 「そういえばクリスは? 今日は色々世話になったんでお礼言っときたいんですけど」 「あの子は帰らせたよ。魔力の使い過ぎでふらついていたからな。明日も顔を出すと言っていたから礼なら明日言えばいい」 「人を背負っての長時間の飛行はクリスくんにはまだ厳しかったみたいですねぇ」  やっぱりここまでオレを運んでくれたのもクリスなわけか。飛行ってのはたしか3章、中級魔法だったはず。オレらの年齢で中級魔法をすでに使えるのは一握りだって話だから、さすがはギルドランクD。とはいえそりゃ魔力も消費するか。  これは礼を言うだけじゃなく、飯くらいはおごった方がいいかもな。 「まあ今日のところは少年も疲れているだろうし、早く帰って休むことだ」 「そうさせてもらいますよ。あ、イロさんの分の夕飯も用意しといたほうがいいですかね?」 「いや今日はここで済ませて帰るつもりだからけっこうだ。キッチンにある材料は使ってくれて構わないが、洗い物は済ませておいてくれよ」 「了解しました。じゃあ今日のところはこれで。アリシアさん、明日はよろしくお願いしますね」 「はい、気を付けて帰ってくださいねぇ」
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4604人が本棚に入れています
本棚に追加