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「どういたしまして。お元気そうで安心しました」
まあオレは逃げ回ってただけで、助けを呼んだのも敵を倒したのも別のやつなんですけどね。とは思っても言わない。
感謝を述べる親子はふたりともうれしそうで、特に女の子の方は言動の端々からそれが伝わってくる。
これだけ喜んでくれるなら、頑張ったかいがあるってもんだ。
Fランクになった後悔はもちろんある。でも、やっぱりあの時走ったことに関しては反省する必要はないよな。
「コレ、ギルドの方に届けようと思ってたんだが、ここで会えたならちょうどいい。今日の礼だ、もらってくれ」
そう言って差し出された袋を受け取ると、ズシリとした重みが伝わってくる。
「ありがたく頂戴しますけど、これは?」
「お肉だよッ!」
「ウチはこの商店街で肉屋をやっていてな。できるだけいい肉を見繕って来たんだ」
へぇ、肉か。牛か豚かはたまた鳥か。そもそも牛とか豚がこの世界にもいるのかは知らんけど、なんにせよ肉なら何でも好きだからありがたい。
まあオレ魚でも野菜でも大体は好きなんだけどな。あ、粘っこい奴は苦手だわ。
「今日は本当にありがとう。これからも良いもの安くおすすめさせてもらうから、店の方にも顔だしてくれよ」
「王様バイバーイ!!」
親子が去るのを見送って、袋の重みを再度確かめる。
ヤバい、ちょっとニヤけるぞこれ。クエスト自体は失敗したけど、結果的にこれがもらえた。あっちでバイトとかもしてなかったし、気分的には初報酬だ。
しかも肉。飯が豪華になるのは素直にうれしい。
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