【第二章 銀嶺館】

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 とりあえず肉を片付けるか。外出からの気絶のコンボで昼飯を食いっぱぐれたわけで腹はそこそこすいてるけど、帰ってきてすぐ飯を作る気はしない。 先に部屋で休みつつ、荷物の整理でもするとしよう。  キッチンに肉を置き、玄関から見て左側、キッチンと反対の方向へ向かう。こちらは二階への階段があり、その先の角を曲がると手洗いとトイレそれから風呂場への通路が続いている。  キッチンの水道で軽く手も洗ったし、奥へは今は用がないな。  階段を三階までのぼる。そうなんとこの洋館、三人しか住人がいないくせに三階まであるのだ。  いや、三階まであるのに三人しかいないというべきかね。収入は大丈夫なのか管理人さん。  自分を見つけに行ったらしい管理人に思いをはせつつ、303と書かれたプレートのかかった部屋の前で立ち止まる。ここがこの世界でのオレの城だ。  鍵を開け中に入ると、未開封の段ボールが積まれている状態だった。  一応昨日も手を付けたんだが、本棚を作ってコレクションを並べたことで満足してしまったんだ。  ラノベと漫画、オレにとっての聖書の数々。本棚を埋め尽くしているがこっちに持ってこられたのはほんの一部だ。  残りはむこうの自分の部屋に泣く泣く置いてきた。オレは読むのが好きというのもあるけど、それ以上に集めるのが好きだから量が半端無いんだ。  もちろんこの世界に来るにあたって一番悩んだのは好きな作品の続きをすぐに買えないことだった。  読むのは帰った時にまとめて読むことを楽しみにできるけど、好きな作品は初版で集めたいからな。  まあ妹に買い集めておいてもらうことで我慢したけど。
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