【第二章 銀嶺館】

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 そんなわけで整理が終わっているのはラノベとマンガ関係のみ。他に少し手を付けてから飯にするかね。  手当たり次第に段ボールを開けていく。とはいってもそう数はない。  着る物にあまり頓着はないし、生活用品もこっちに合わせて買い集めるつもりで最低限しか持ってきてないし。  もう箱のまま隅の方に積んどいてもいいかな。なんて思っていると、 「あれまだあるのか」  全部開けたと思ったけど、ひとつだけまだ開けてない箱があった。持ってきたものは全部もう確認したはずなんだけど。あとなに持ってきてたかね。  何気なくダンボール箱を開き、そのまま固まる。 「……縞パン、だと?」  箱の中の一番上には黄色と白のストライプが鎮座していらっしゃった。  待て。待て待て、ちょっと待て。なんでオレの荷物の中にこんなもんが!?  恐る恐る手を伸ばすと、ブツの下になにやら文字の書かれた紙があることに気がつく。これは?  『私だと思って大事にしてね』  紙を手に取ると、見覚えのある丸っこい文字。 「あんのアホ妹が!!」  しかも、割と風呂上がりに平気で下着姿のまま歩きまわるあいつがこんなのをはいてるのを見たことがない。  たぶんこのためにわざわざ買ってきたんだろう。どこで買ってきたんだよこんなもん。  無駄なことにこそ全力を尽くす、が座右の銘のあいつらしい行動だ。
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