【第二章 銀嶺館】

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『PS』  ん? 右下の隅にちっさく書いてあるけど、裏にまだなんか書いてあるのか。  手元の紙をひっくり返すと、やっぱりというか丸っこい文字で書かれている。 『こんな大事なもの忘れちゃダメじゃない』  そのあとに続く大量のハートマークが草を生やしているようにしか見えねえよ。  嫌な予感を覚えつつ、というか嫌な予感しかしないままに恐る恐るさっきは縞パンと手紙に意識を取られてちゃんと中を確認してなかったダンボールを覗き込む。  そこにあったのはオレのコレクションの一部。でも本棚に並べられているものとは毛色が違う。  子供は見ちゃダメな方のコレクションの数々だった。 「圧倒的な肌色率!!」  何やってんだよあいつ! どうやって見つけたんだよ!  ベットの下に見られてもいいようなダミーを置き、さらに鍵をかけた引き出しの方にももう少し派手な本を置いて本命から目をそらしたはずなのに。  ちくしょう。帰ったらデコピンから拳骨にランクアップしてやる。  まあ、持ってきちまった以上はありがたく使わせてもらうけどさ。  上にのっている縞パンをつかみ取り、ダンボールから一冊づつ取り出して確認していく。  ここにあるのは秘蔵コレクションのすべてというわけではないようだ。  ……だからこそ、的確にオレのお気に入りばかりチョイスされてるのが怖い。
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