【第二章 銀嶺館】

11/35
前へ
/353ページ
次へ
「マジで何なんだよあいつッ!?」  いや、ふつうに妹なんだけどさ。オレの趣味嗜好を網羅し── 「コソ泥め、両手を上げておとなしくしなさい!!」 「へ? え?」  突如部屋のドアが外側からの強い衝撃によってぶち破られた。  襲撃者は真っ赤なツインテールに浴衣姿、そして両手には2丁の銃をかまえてオレを狙い澄ましている。  シエナとか言ったか、何でこいつがここに?  そしてなぜに銃をオレに向けてる? 「あんたは……」  向こうもこちらの顔を覚えていたのか、困惑の表情を浮かべる。でもそれも一瞬のことだ。  シエナの顔がその髪と同色に染まっていく。その視線の先はオレの手元に向かっていた。  右手に縞パンを左手に大人の絵本を。  あ、こりゃアウトだわ。 「それ、あたしの」  なにやら勘違い。ほう、シエナは縞パン派か。いや、いい情報だが今はそれどころじゃねえ。 「待て。これはオレの──」 「問答無用! 吹っ飛べ下着ドロボー!!」  銃が煌めき、オレの頭に衝撃が走る。  妹の悪ふざけでオレが被害を受けるのは、世界をまたいでも変わらんわけか。  なんて諦観を覚えつつ、本日二度目の気絶を味わう羽目になったのだった。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4604人が本棚に入れています
本棚に追加