【第二章 銀嶺館】

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「ごめんなさい」  玄関を入って右手側の談話スペース。その椅子のひとつの上に正座したシエナが頭を下げていた。 「勘違いして撃っちゃったことは謝るわ」 「お、おう。謝ってくれるなら良いよ」  というか、目が覚めたらまたもや椅子に座らされてたんだけど。  なに、こっちの世界じゃ気絶したやつは椅子に座らせておくもんなの?  変な姿勢になるせいで腰が痛いんだよ。  そんでもって、態度の違いに寝起きの頭がついていってねえよ。 「えっと、たぶん物音がして泥棒だと思ったんだよな」  オレの問いかけにこくんと頷くシエナ。罪悪感からか顔をあまり上げることなく、弱々しく見える。  膝の上で握ったり開いたりしてる手からも所在なさげな感じが伝わってくる。  心なしか座っている椅子の距離も普通においてある時よりひらいてる気もするし。 「そうよ、ここの住人が増えるなんて聞いてなかったし」 「今は誤解がとけたってことでいいか」 「うん、イロさんに不審者だって連絡したらあんたのこと説明されたから。……それに冷静に考えたらあたしのは青色で色が違ったし」  イロさんナイス。でもできれば事前にちゃんと説明しておいてほしかったです。  それと最後の方は小声になってたけど、聞き逃すオレじゃない。そうかシエナのは青と白のストライプか。
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