【第二章 銀嶺館】

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「あんた下着片手にオレのって言ってたじゃない!!」  そんなこと言ったけ?  ……言ったな。でもちょっと待て。あれは言いかけただけで、 「オレの妹のって言ったんだよ」 「超重度のシスコン!? よけいに変態じゃない!!」 「オレが持って来たんじゃねえよ。あれは妹が入れやがったんだ!!」 「えッ! 公認!? 兄弟でそんな関係なんて!? いやでも、そういう関係ならセーフなのかしら?」 「アウトだよこんちくしょー!!」  どう考えてもダメだろ!  というか、そういう関係だったとしても餞別がパンツってどうよ。 「ダメとわかった上で背徳感を楽しむなんて、度し難い変態ね!!」 「だから妹のイタズラであって、オレは断じて変態じゃねえ!」  肌色多めが好きなただの思春期男子高校生だ。 「妹の下着を片手にスケベな本に囲まれて鼻の下伸ばしてるやつが変態以外の何だってのよ!」 「鼻の下は伸ばしてねえよ!」  何を言っても悪い方向にとられてらちがあかん。 「めんどくせえなぁ。……そっちこそ痴女のくせに」  ぽつりと漏らしちまった言葉も、シエナに耳ざとく拾われる。 「誰が痴女よ!!」 「外で浴衣を思いっきり脱いでただろ」 「ちゃんとその下は水着だったでしょ!」 「水着でもギリギリだろ。しかも慣れてるみたいで早かったし」 「あれは帯も簡単なやつで、身にまとった魔力で押さえてるだけにしてあるからよ!」 「脱ぎやすく準備してるとか、上級すぎじゃね?」  ガチャリと、銃口がオレをとらえる。  真っ赤な顔でにらみつけるシエナは、 「せっかく助かった命をこんな所で捨てるなんて、もったいない男ね」 「待て! 助けてくれたことは本当に感謝してる! たとえそれが痴女だったとしてもその感謝は山よりも高く海よりも……」 「だから痴女って言うな!!」  強い衝撃に吹っ飛ばされつつ思う。  一日に気絶三回ってすごくね?
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