【第二章 銀嶺館】

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「よう、痴女。おはよう」  翌日の朝、談話スペースで目を覚ましたオレがそのままキッチンで作業をしてると、階段のほうから浴衣姿のシエナがやって来た。 「おはよう変態。そのままもっかい寝る?」 「それは勘弁。おはようございます、シエナさま」  だから、その銃をしまってもらえるとありがたいです。 「ハァ、その気持ち悪い口調もやめてもらえるかしら」  ため息をつきながら袖口に銃を戻して談話スペースの椅子に腰かける。  昨日に比べてテンションが低いっぽいし、朝に弱いのかね? 「へいへい。おはようさん、シエナ。肉焼いてんだけどお前も食うか?」  昨日食いっぱぐれたやつだ。気絶したとはいえ、昼と晩を抜いたまま朝まで寝てたってのは、よっぽど疲れてたんだなオレ。 「んー。いただかせてもらうわ」 「了解。あ、そういやタオルありがとな」  朝目が覚めた時、床に転がるオレの上には大きめのタオルがかけられていた。イロさんが帰って来た様子はなかったし、シエナがかけてくれたんだろう。  イロさん。食って帰るっていってたけど、たぶん飲んで酔い潰れたんだろうな。 「単なる気まぐれよ。変態をとなりの部屋に寝かすのも嫌だったし」  残念。そこで、別にあんたのためじゃないんだからね、とか言ってくれたら肉増量したのに。
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