【第二章 銀嶺館】

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 というか、 「となりの部屋に寝かす?」 「あんたの部屋303号室でしょ。あたしは302なのよ。身体強化を使えばあんたを部屋まで運べたけど、変態にそこまでする義理はないしね」 「そこらへんで気絶したまま転がってるのはよくあるからいいさ。それより、あんなに部屋が余ってんのにとなりなのか」 「よくあるってどういう生活してるのよ。部屋の方は、イロさんが気をまわしたんでしょうね。同世代の方があんたがなにかと訊きやすいってことじゃないかしら」  主に、というかほとんど妹が原因です、とは言わない。またシスコンどうこうでもめてもいやだし。 「年頃の男女がってのは気にしないのか」  気にしなさそうだなぁ、イロさん。 「変なこと考えるのは勝手だけど、命の保証はしないわよ」 「分かった分かった! だから銃は出すな!」  ホントやめてくれませんかね。心臓に悪い。  あと変なこと考えるなって言うのなら、その股下ほぼ0センチくらいの浴衣姿はやめてほしい。  昨日と同じで水着だとわかっていても目が行っちまうのは仕方ないだろ。  銃をまた袖口に戻したあとグデッと机に突っ伏していたシエナだったけど、肉を運んでいくとガバッと起き上がってくる。 「ほい、焼けたぞ」  ホントに肉を焼いただけだけど。  置いてあった調味料で味付けくらいはしたけど、他は何もない。  オレの調理スキルがそれほど高くないってのもあるが、それ以前にキッチンにまともな材料は残ってなかった。  好きに使っていいって言ってたけど、どうにもなんねえよ。イロさん。
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