【第二章 銀嶺館】

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 それなりに量のあった肉の山だけど、ふたりで食べきるのにそう時間はかからなかった。 「ふう。食った食った」  シエナの食いっぷりにつられて、朝から食いすぎた。やべえ、激しく動いたりしたら吐くぞコレ。 「ごちそうさま。おいしかったわ」  オレより5割増しくらい胃に収めたくせにシエナの方はケロッとした表情で皿を持って席を立つ。 「あたしはこれからギルドにいくけど、あんたはどうするの?」  訊きながら、いまだ食いすぎで動けないオレの分の食器も片付けようとしてくれる。 「いいよ、自分の分は自分で片づけるから」  無視された。  オレの方に視線を向けることもなく、すべての食器を流しの方へ持っていく。  こいつ電車で席を譲るときは何も言わずに席を立って移動するタイプだな絶対。  まあ、片付けてくれたのはありがたいからいいけど。 「オレもギルドに行くつもり。アリシアさんに魔法を教えてもらうことになってんだ」 「アリシアさんか。あの人見かけによらずスパルタだから、無理してケガをしないようにだけは気を付けときなさいよ」 「心配してくれてありがとな。了解、気を付けとくよ」  カシャンとキッチンの方から聞こえてきていた軽快な水音に異音が混じる。おい、皿大丈夫か。 「な! 変態の心配なんてしてないわよ! 今のは先輩からのアドバイスってやつよ!」 「肉焼いてやったんだから、変態呼ばわりはやめてくれよ」 「それとこれとは話が別よ!」  そうですか別ですか。まあ、女物の下着片手にエロ本ぶちまけてる男なんて冷静に考えてみると変態以外の何物でもない。燃やされなかっただけラッキーとでも思っておこう。 「それじゃあ、あたしはもう行くからあんたもアリシアさんを待たせないようにしなさいよ!」  そう言うってシエナは玄関は言って左側の手洗いのある方の通路へと消えると、ものの数分で身支度を整えて出て行った。  早えな、おい。シエナが特別なのかそういう魔法でもあるのか。  ま、どっちでもいいか。  オレも部屋を簡単にだけ片付けてさっさと出かけるとしよう。  ……聞いてる限りじゃ、アリシアさんを待たせると怖そうだし。
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